タイ株で撤退した話|“地合い”が崩れると勢いは消える(と海外株の為替・手数料)

本記事は情報提供を目的とした個人の見解であり、投資の勧誘・助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

リード

前回、中国株で「大きなトレンドに乗れて勝てた話」を書きました。今回はその続編の失敗談です。中国の成功に味をしめた私は、「次はタイだ」と東南アジアの高成長に乗ろうとしました。ところが、結果は利益を出せないまま撤退。負けの原因は銘柄選びではなく、地合い・撤退判断・海外株のコストという、モメチンの土台部分にありました。


結論:勢いに乗る前に「地合い」を見ていなかった

先に要点です。私のタイ株の失敗は、次の3つに集約されます。

  • 地合い(市場全体・カントリーリスク)を軽視した:個別の成長テーマばかり見て、国全体が荒れる可能性を考えていなかった。
  • トレンドが崩れても降りられなかった:悪化を見ながら「戻るかも」と耐え、撤退が遅れた。
  • 海外株のコストを織り込んでいなかった:株価の損に加え、為替(バーツ)と為替手数料が重くのしかかった。

モメチンは「良い地合いで、勢いに乗る」手法です。その前提を外していたら、どんなテーマも機能しません。

何をしたか:中国の成功体験の延長で「次はタイ」

2005年ごろの話です。少し前に中国株で勝てた経験から、私はすっかり「新興国の高成長に乗ればいい」と思い込んでいました。そこで次に目をつけたのがタイ。これからの東南アジアの成長と、エネルギー需要の伸びに期待して、円をバーツに替え、タイのエネルギー系セクターを買いました。

動機は「高成長テーマへの期待」。中国でうまくいった“勝ちパターン”をなぞったつもりでした。

何が起きたか:地合いが崩れた

ところが、ほどなくしてタイの政治情勢が揺れ始めます。反政府デモが広がり、市場全体が不安定になりました。

当時のタイは、2006年にかけて反政府運動が拡大し、最終的にはその年の9月に政変(軍事クーデター)に至ります。年末には市場が1日で大きく下落する場面もあったほどで、国全体のムードが「成長」から「不安」へ一変しました。

私が買ったエネルギー株そのものの良し悪し以前に、国全体の地合いが崩れたのです。どんなに個別のテーマが良さそうでも、市場全体が下を向けば、勢いは消えます。これがカントリーリスク(その国特有の政治・社会リスク)の怖さでした。

なぜ負けたか:3つの土台が抜けていた

① 地合い・カントリーリスクを見ていなかった

モメチンの大前提は「地合いが良いこと」。私はテーマ(高成長)だけを見て、その国が政治的に安定しているかという一番大きな環境を確認していませんでした。個別の勢いは、地合いという土台の上にしか乗りません。

② トレンドが崩れても降りなかった

市場が不安定になった時点で、本来なら「地合いが崩れた=いったん降りる」が順張りの鉄則です。ところが私は「ここまで来たし、戻るかも」と耐えてしまった。損切り遅れです。耐えている間に状況はさらに悪化しました。

③ 海外株のコストを甘く見ていた

そしてもう一つ、国内株にはない落とし穴。為替と手数料です。円をバーツに替えて投資したので、株価が下げただけでなく、為替の変動と為替手数料まで損益にのしかかりました。海外株は「株価の損益=最終損益」ではありません。為替・手数料を最初から織り込む必要があったのに、それを軽視していました。

結局、株価・為替・コストの三重苦で、利益を出せないまま撤退しました。

この体験から学べること

タイ株の失敗を、再現できる教訓に一般化すると、こうなります。

  • 勢いに乗る前に、地合いを見る:個別やテーマの前に、市場全体・その国の安定性を確認する。地合いが悪いときは、見送る勇気を持つ。
  • トレンド/地合いが崩れたら、淡々と降りる:「戻るかも」は損切り遅れの典型。順張りは“崩れたら降りる”までがワンセット。
  • 海外株は、為替と手数料を織り込む:株価で勝っても、為替とコストで負けることがある。最終損益で考える。

そして大事な注意点。これは**「タイ株が悪い」という話では全くありません**。悪かったのは、地合いも出口もコストも準備せずに、勝ちパターンの上澄みだけ真似した自分です。

前回の中国株(勝ち)と今回のタイ株(負け)は、同じ「新興国の高成長テーマ」でした。明暗を分けたのは銘柄ではなく、地合いと、降りる準備があったかどうか。モメチンが「地合いの良いときに乗り、崩れたら降りる」手法だと、身銭を切って学びました。

まとめ

  • タイ株の負けの原因は銘柄ではなく、地合い軽視・損切り遅れ・海外株コストの軽視

  • モメチンは「良い地合いで勢いに乗り、崩れたら降りる」。**前提(地合い)と出口(撤退)**を外すと、どんなテーマも機能しない。

  • 海外株は、為替・手数料まで含めた最終損益で考える。

  • まず読む:「中国株で勝てた話|大きなトレンドの初動に乗る」(記事005

  • あわせて:「高値掴みを防ぐ5つのチェック」(記事★3)/「損切りラインの決め方」(記事★6


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