【事例】史上最高値を買った後に起きたこと|2024年7〜8月の「だまし」をルールごとに後検証する
本記事は過去の値動きを題材にした学習目的の振り返りであり、特定の銘柄・指数・手法の売買を推奨・勧誘するものではありません。記載の数値は執筆時点で確認できた公開情報に基づく計算であり、過去の値動きは将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
リード
2024年7月11日、日経平均株価は42,224円02銭で引けました。終値としての史上最高値であり、初めての4万2000円台です。
新高値ブレイクという手法から見れば、これ以上のシグナルはありません。
- 終値で高値を更新している
- 25日移動平均線の上にいて、その25日線自体も上を向いている
- 数か月にわたる上昇トレンドの延長線上にある
新高値ブレイク投資のやり方 で書いた条件を、ほぼ満たしていました。
その16営業日後、日経平均は**4,451円28銭安(−12.39%)という史上最大の下げ幅を記録します。7月11日の終値から見て、−25.5%**です。
この記事は、その16営業日を1日ずつ追いかけます。ただし「暴落は怖い」という話ではありません。扱うのはこの問いです。
7月11日の引けで買っていたとして、どのルールなら、どこで降りられたのか。
先に答えを言うと、3つのルールすべてが、暴落の7営業日以上前に降ろしていました。 そして、8月5日に耐えきれずに投げた人には、もう一つのだましが待っていました。
結論:ルールは「当てる」ためではなく、「その場にいない」ためにある
- エントリー時点で、条件は揃っていました。 7月11日は終値で史上最高値、25日線乖離+6.55%、25日線も上向き。だましは、条件が甘いから起きるのではありません。 だましを回避する4条件 を満たしていても起きます。
- それでも、降りるルールを持っていた人は8月5日を見ていません。 25日線割れで降りれば7月22日に−6.2%、高値から−5%のトレーリングストップなら7月19日に約−5%、−8%の損切りなら7月25日。いずれも暴落の7〜11営業日前です。
- 何もしなかった場合は、8月5日の引けで−25.5%でした。 ルールを守った場合との差は、およそ19〜20ポイント。この差は相場を当てたことによる差ではなく、その場にいなかったことによる差です。
- 8月5日に投げた人には、2つ目のだましが来ます。 翌8月6日は**+3,217円04銭(+10.22%)という史上最大の上げ幅でした。8月30日までには8月5日の水準から+22.9%**戻しています。上のだましと下のだましは、同じ失敗の裏表です。どちらも「極端な1日に反応した」結果です。
- 8月5日の暴落は「誰かが売り崩した」わけではありませんでした。 金融庁が大阪取引所の先物の注文明細データを分析した結果、特定の売り手への集中は確認されず、代わりに板が薄くなっていたことが示されています。最良気配周辺の指値注文は年初来平均322枚に対し、8月5日は72〜80枚(約4分の1)。しかもこの薄さは7月中旬から進んでいました。
そして正直な留保をひとつ。この記事は完全な後知恵です。 7月22日の時点で「これは天井の始まりだ」と分かっていた人はいません。だからこそ、判断ではなくルールの話をします。
なぜ、個別銘柄ではなく日経平均を選んだか
テーマ株の急騰と急落、新高値ブレイクが続伸したケース、好決算なのに急落したケース と、このブログの事例記事は個別銘柄を扱ってきました。今回だけ指数にしたのには理由があります。
理由①:題材を選んだ時点でのバイアスを避けたい。
「だましの事例」を個別銘柄から選ぶと、必ず「だました銘柄」の中から選ぶことになります。そうやって選んだ1銘柄を見て「だましはこう見分けられる」と書くのは、答えを見てから問題を作るのと同じです。日経平均は1つしかないので、少なくとも選びようがない。
理由②:特定銘柄の売買を推奨する形になりにくい。
理由③:一次資料がある。
8月5日については、金融庁が大阪取引所から提供を受けた日経225先物の注文・取引明細データを使った分析を公表しています。個別銘柄でこの粒度の公的分析が手に入ることは、まずありません。
なお、この局面の資産配分(暴落時に現金比率をどうするか)は 相場が崩れた時の現金比率 で扱いました。本記事はエントリーと撤退、つまり手法そのものの後検証です。同じ日付を扱いますが、問いが違います。
何が起きたか(事実の時系列)
| 日付 | 終値 | 前日比 | 出来事 |
|---|---|---|---|
| 2024/2/22 | ― | ― | バブル期の史上最高値を約34年ぶりに更新 |
| 2024/3 | ― | ― | 初めて40,000円台に乗せる |
| 7/11 | 42,224.02 | +392.03 | 終値で史上初の4万2000円台。史上最高値 |
| 7/12 | 41,190.68 | −1,033.34 | 翌日に1,000円超の下げ |
| 7/19 | 40,063.79 | −62.56 | 25日線乖離 +0.15%(線に接近) |
| 7/22 | 39,599.00 | −464.79 | 終値が25日線を下回る(乖離 −1.09%) |
| 7/25 | 37,869.51 | −1,285.34 | 7日続落。約8年ぶりの下げ幅 |
| 7/26 | 37,667.41 | −202.10 | 3か月ぶりの安値 |
| 7/31 | 39,101.82 | +575.87 | 日銀が政策金利を引き上げ |
| 8/1 | 38,126.33 | −975.49 | |
| 8/2 | 35,909.70 | −2,216.63 | 当時としては歴代2位の下げ幅 |
| 8/5 | 31,458.42 | −4,451.28 | 史上最大の下げ幅(−12.39%)。サーキットブレーカー発動 |
| 8/6 | 34,675.46 | +3,217.04 | 史上最大の上げ幅(+10.22%) |
| 8/7 | 35,089.62 | +414.16 | 日銀・内田副総裁「不安定な状況で利上げはしない」 |
| 8/16 | 38,062.67 | +1,336.03 | 25日線を回復(乖離 +0.32%) |
| 8/30 | 38,647.75 | +285.22 | 7月31日以来の水準まで回復 |
8月の月間値幅(高値と安値の差)は7,189円33銭で、バブル崩壊時の1990年8月(7,100円36銭)を超えて過去最大でした。
補足すると、7月時点で既に**日経半導体株指数は月間−10.97%**と、指数全体(−1.21%)よりはるかに大きく崩れています。中身では先に崩れていたということです。
エントリーの時点で、条件は揃っていたか
ここが、この記事でいちばん誠実に書くべき部分です。
だましを回避する4条件 と照合してみます。
| 条件 | 7月11日時点 | 判定 |
|---|---|---|
| ① 終値で確認する(ヒゲ抜けに飛び乗らない) | 終値42,224.02で史上最高値を更新 | 満たす |
| ② 出来高を伴っているか | 7月のプライム市場の売買代金は1日平均4兆3,077億円で6月比+9% | おおむね満たす |
| ③ 上位足(大きな流れ)と方向が一致しているか | 25日線の上(乖離+6.55%)、25日線自体も上向き | 満たす |
| ④ リテスト(押し目)を待てるか | 前日比+392円で高値更新。押し目を待つなら見送り | 満たさない |
つまり、4条件のうち3つは満たしていました。
この事実から言えることは、決まっています。
だましは、条件が甘いから起きるのではありません。条件が揃っていても起きます。
条件を厳しくすれば防げた、という話にはできません。もちろん④(リテストを待つ)を厳格に守った人は7月11日に買っていないので、結果的に助かっています。ただし、それは後から見ればそうだったという話であり、④を守ると多くのブレイクを取り逃すというコストとセットです。押し目買いのタイミング で扱ったトレードオフがそのまま出ています。
本題:どのルールなら、どこで降りたか
7月11日の引け値42,224.02で買ったと仮定して、ルールごとに検証します。数値はすべて終値ベースです。
検証したルール
| ルール | 内容 | 参照記事 |
|---|---|---|
| A | −8%で機械的に損切り | 損切りラインの決め方 |
| B | 終値が25日移動平均線を下回ったら撤退 | 移動平均線で順張り |
| C | 直近高値から−5%のトレーリングストップ | トレーリングストップで利を伸ばす方法 |
| D | 何もしない(持ち切り) | ― |
結果
| ルール | 撤退日 | 7/11からの営業日 | 撤退時の株価 | 損益 | 8/5までの余裕 |
|---|---|---|---|---|---|
| C 高値−5%トレーリング | 7/19 | 5営業日 | 40,063.79 | −5.0%(指値どおりなら)/−5.1%(引け) | 11営業日前 |
| B 25日線割れ | 7/22 | 6営業日 | 39,599.00 | −6.2% | 10営業日前 |
| A −8%損切り | 7/25 | 9営業日 | 37,869.51 | −8.0%(指値どおりなら)/−10.3%(引け) | 7営業日前 |
| D 何もしない | ― | ― | 31,458.42(8/5) | −25.5% | ― |
3つのルールすべてが、8月5日の7営業日以上前に退場させています。
補足を2つ。ルールAとCの「指値どおりなら」というのは、逆指値注文が指定した水準の近くで約定した場合という意味です。7月25日は前日比−1,285円の大幅安だったので、実際にはもう少し不利な価格になった可能性があります。だから両方の数字を出しました。仕手株・急騰株の記事 で書いたとおり、逆指値は指定した値段で売れることを保証しません。指数と違い、個別銘柄では板がなくなることもあります。
もう一つ。この3つのルールは、相場観をひとつも使っていません。 日銀が利上げするかも、米国の雇用統計がどうか、円キャリーの巻き戻しがどうか——何も予想していません。価格が線に触れたかどうか、それだけです。
差の正体
持ち切り(−25.5%)とルールB(−6.2%)の差は約19ポイントです。
この19ポイントは、暴落を予見したことによる差ではありません。7月22日の時点で暴落を予見していた人は、ほぼいませんでした。 実際、7月29日から31日にかけて相場は3日続けて戻しており、7月22日に降りた人は「早すぎた、また上がってしまった」と思っていたはずです。
ルールが生んだのは正しい予測ではなく、8月5日にポジションを持っていなかったという事実だけです。
期待値とトータルで勝つ考え方 で書いた「1勝4敗でも勝つ」という設計は、こういう場面のためにあります。
8月5日に何が起きていたか(金融庁の一次資料)
ここは、この事例のいちばん面白い部分です。
金融庁は2025年1月、2024年8月上旬の日本株市場の急激な相場変動に関する分析 を公表しました。大阪取引所から提供を受けた日経225先物の注文・取引明細データ(新規注文・変更・取消・成約の1件ごとの記録)を使った分析です。
「誰かが売り崩した」わけではなかった
まず、直感に反する結果から。
- 売り手のテイク注文の偏り:買い手と売り手のどちらが攻めていたかを示す指標は、年初来平均0.497に対し8月5日は0.494。日通しで見ればほぼ均衡でした。
- 特定の売り手への集中度:売り手側の集中度(HHI)は年初来平均0.089に対し8月5日は0.075。むしろ平時より分散していました。
つまり、大口の誰かが大量に売って崩した、という形跡は確認されていません。
板が薄くなっていた
代わりに出てきたのが、流動性の話です。
| 指標 | 年初来平均 | 8月5日 | |
|---|---|---|---|
| 最良気配周辺5本の指値枚数(買い側) | 322.20枚 | 79.55枚 | 約4分の1 |
| 最良気配周辺5本の指値枚数(売り側) | 322.28枚 | 71.80枚 | 約4.5分の1 |
| Buy Price Impact Ratio | 1.21×10⁻⁸ | 4.29×10⁻⁸ | 約3.5倍 |
| Sell Price Impact Ratio | 1.20×10⁻⁸ | 4.34×10⁻⁸ | 約3.6倍 |
Price Impact Ratio というのは、同じ金額の注文で値段がどれだけ動くかを表す指標です。これが3.5倍になっているということは、同じ売り注文でも3.5倍値段が飛ぶ状態だったということです。
そして金融庁の報告で最も重要な一文がこれです。
注文の厚みが7月中旬から減少の傾向を示し、8月前半に向かって急減少していることが確認できる。(金融庁 FSA Analytical Notes、2025年1月)
崩れる準備は、崩れる前からできていました。 7月中旬——ちょうど、7月11日の高値の直後です。
報告書の総括はこうまとめています。「元々市場流動性が低下していた中、売り需要が特定の時間に大量に発生し、買い手の供給する市場流動性が更に不足した結果、テイク注文によって発生する価格変動を吸収することができず、売りが売りを呼ぶ急激な相場変動が発生したものと考えられる」。
8月5日は13時26分と14時27分にサーキットブレーカーが発動しています。後場に入ってから崩れた、というのがデータで確認できる形です。
では、これは事前に使える情報だったのか
正直に言えば、個人投資家には使えません。
板の厚みを分単位で時間加重平均して観測するのは、個人の環境では現実的ではありません。金融庁がこの分析をできたのは、取引所から注文明細データの提供を受けたからで、しかも公表されたのは事後5か月後です。
ただし、同じことの影が、価格の側には出ていました。
- 7月12日:−1,033円
- 7月25日:−1,285円(約8年ぶりの下げ幅)
- 8月1日:−975円
- 8月2日:−2,216円
1日の値動きが、順番に大きくなっています。 これは板が薄くなっていることの、個人にも見える側の現れです。相場が崩れた時の現金比率 で「怖いからではなく、ブレ幅が広がったから決める」と書いたのは、まさにこの構造を指しています。ブレ幅は、予想ではなく観測です。
2つ目のだまし:8月5日に投げた場合
ここまでは「上へのだまし」の話でした。この事例には、下へのだましも入っています。
8月5日、日経平均は−12.39%で引けました。ニュースは「ブラックマンデー超え」で埋まり、含み損は−25.5%です。ここで耐えきれず投げたとします。
翌日、8月6日の日経平均は+3,217円04銭(+10.22%)。史上最大の上げ幅でした。
| 8月5日引けで売った場合 | |
|---|---|
| 確定した損失(7/11比) | −25.5% |
| 翌日(8/6)の上昇 | +10.2% を取り逃す |
| 8月30日までの反発(8/5比) | +22.9% を取り逃す |
さらに悪い形もあります。SNSやブログで一般によく語られる失敗の型として、投げた直後に「やっぱり下だ」と売り方に回るというものがあります(往復ビンタ)。買いで損切りした直後に方向を反転させ、そこから相場が戻って売りでも損切りになる。1回分の傷で済むはずが倍になるパターンです。
念のため書いておくと、これは実在の個人の話ではなく、私自身が経験したことでもありません。 一般に語られる型として整理したものです。ただ、8月5日と6日の並びは、この型が発生する条件としてはこれ以上ない組み合わせでした。仮に8月5日の引けで売って8月6日の引けで買い戻せば、それだけで**追加で−10.2%**です。
そして注意してほしいのは、これが リベンジトレードを設計で止める で扱った問題の入口だということです。−25.5%を取り返そうとする心理が生まれるのは、まさにこの地点です。
上のだましと下のだましは、同じ失敗である
| 上のだまし | 下のだまし | |
|---|---|---|
| いつ | 7月11日(史上最高値) | 8月5日(史上最大の下げ) |
| 何をした | 極端に上がった日に買った | 極端に下がった日に売った |
| 何を見ていたか | その日の値動きと見出し | その日の値動きと見出し |
| 結果 | 16営業日で−25.5% | 翌日の+10.2%を逃す |
構造は同じです。極端な1日に反応して行動している。
仕手株・急騰株に飛び乗って焼かれる仕組み で、前月の最大日次リターンが大きい銘柄ほど翌月が弱いというMAX効果と、1日〜1か月の極端な値動きは反転しやすいという短期リバーサルの研究を扱いました。この事例は、指数レベルで同じことが起きた記録として読めます。
この事例から取り出せる教訓
① だましは、条件が揃っていても起きる
7月11日は3条件を満たしていました。条件を厳しくして防ぐという発想には限界があります。入口の精度を上げるより、出口を決めておくほうが効きます。
② ルールの価値は、当てることではなく「その場にいないこと」
7月22日に25日線割れで降りた人は、暴落を予見していません。ただ結果として、8月5日にポジションを持っていませんでした。これがルールの全機能です。
③ 極端な1日に反応すると、両方向で負ける
上へも下へも同じです。極端な日は、判断するのに最も向いていない日です。
④ 見えないものを見ようとせず、見えるもので動く
板の厚みは個人には見えません。見えるのは価格と、その振れ幅です。振れ幅が広がったという観測なら、誰にでもできます。
⑤ 「戻ってきたから正しかった」は使えない
日経平均は8月30日に38,647円まで戻し、その後さらに上昇していきました。だから「持ち切りが正解だった」とは言えます——結果を見れば。ただし7月11日の水準を終値で回復するまでには時間がかかっており、その間ずっと含み損に耐える必要がありました。しかもこれは指数だから戻っただけという可能性を、常に考える必要があります。個別銘柄には、戻らないものもあります(塩漬け株の作り方と抜け出し方)。
正直に書いておく留保
① これは完全な後知恵です。
7月22日に25日線を割った時点で「天井の始まりだ」と分かっていた人はいません。実際、その後7月29〜31日は3日続けて戻しており、降りた人は「早すぎた」と感じていたはずです。ルールを守るというのは、こういう「早すぎたように見える瞬間」に耐えることとセットです。
② ルールで降りた人は、反発も取り逃しています。
7月22日に−6.2%で降りた人が、8月16日の25日線回復(38,062円)で買い直したとすると、7月11日比では−9.9%の水準です。持ち切った場合の8月30日(−8.5%)より悪い。ルールは最善を保証しません。致命傷を避けるだけです。
③ 1事例です。
これは1つの指数の、1つの局面です。この記事のルール比較は、同じルールが他の局面でも同じ順位になるという主張ではありません。他の局面では、25日線割れで降りたせいで大きなトレンドを取り逃すこともあります。
④ 指数と個別銘柄は違います。
指数は分散されているので、流動性が枯渇しても値段はつき続けます(サーキットブレーカーは入りましたが)。個別銘柄では板そのものが消えることがあり、その場合ルールAもCも機能しません。この点は 仕手株・急騰株の記事 で扱いました。
⑤ 時間軸が違えば、正解が違います。
長期の積立をしている人にとって、2024年8月5日は通過点のひとつでした。この記事のルール比較は、数週間から数か月の順張りを前提にしています(デイトレとスイング、兼業はどっち?)。
まとめ
- 2024年7月11日、日経平均は終値で史上最高値42,224円02銭。新高値ブレイクとして条件は揃っていました(だましの4条件 のうち3つを満たす)。それでも16営業日後に、史上最大の下げ幅(−4,451円28銭、−12.39%)が来ました。
- 7月11日の引けで買ったと仮定した後検証では、3つのルールすべてが暴落の7営業日以上前に退場させていました。 高値−5%トレーリングなら7月19日(−5%)、25日線割れなら7月22日(−6.2%)、−8%損切りなら7月25日。何もしなければ8月5日に−25.5%です。
- この差は、相場を当てたことによる差ではありません。 どのルールも予想を一切使っていません。使ったのは「価格が線に触れたか」だけです。
- 8月5日に投げると、2つ目のだましに当たります。 翌8月6日は史上最大の上げ幅(+10.22%)でした。上のだましと下のだましは、どちらも「極端な1日に反応した」という同じ失敗です。
- 8月5日の暴落は、誰かが売り崩したのではなく、板が薄くなっていたことが一因と金融庁の分析は示しています。最良気配周辺の指値は年初来平均322枚に対し8月5日は72〜80枚。しかもこの薄さは7月中旬から進んでいました。 個人にその板は見えませんが、1日の値幅が順に大きくなっていくという形で、価格の側には出ていました。
次の一歩
- いま持っている銘柄について、「どうなったら降りるか」を1行で書けるか確かめる(書けないなら 損切りラインの決め方)
- ブレイクで買う型を使っているなら、降り方をセットで決める(トレーリングストップ/移動平均線で順張り)
- 直近20営業日の値動きの振れ幅が、平時と比べて広がっていないか見る(相場が崩れた時の現金比率)
- 「大きく動いた日は判断しない」を エントリー前チェックリスト に1行足す
免責事項
本記事は情報提供・学習を目的とした過去事例の振り返りであり、特定の銘柄・指数・手法の売買を推奨・勧誘するものではありません。記載の株価・数値・日付は執筆時点で確認できた公開情報に基づくもので、後検証はすべて終値をもとにした計算上の仮定であり、実際の約定価格・手数料・税金を反映していません。本文で紹介した「往復ビンタ」は一般に語られる失敗の型を整理したものであり、筆者自身の体験でも、実在の特定個人の事例でもありません。過去の値動きは将来の成果を保証しません。投資判断はご自身の責任で行ってください。