震災の安値を“すけべ心”で拾った話|底値拾いとレンジ相場の二重苦
本記事は情報提供を目的とした個人の見解であり、投資の勧誘・助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
リード
暴落を見ると、つい「これは割安だ、拾っておこう」という気持ちがわいてきます。私はこれを“すけべ心”と呼んでいます。2011年の東日本大震災のとき、私はまさにその心で、暴落した東電株と日経平均ETFを底値拾いしました。結果は、長い横ばい相場で報われず、損失を抱えて撤退。今回は、その底値拾いの失敗を正直に書きます。モメチン(順張り)とは何が違ったのか、という視点で。
結論:「安いから買う」と「勢いがあるから乗る」は別物
先に要点です。
- 私は暴落を「割安」と見て、勢いではなく安さだけで買いました(=逆張りの底値拾い)。これはモメチンの真逆です。
- さらに買った後は長いレンジ(横ばい)相場。勢いが出ないので順張りの妙味もなく、逆張りの反発も来ない、最悪の環境でした。
- 東電は原発事故という構造変化で、「割安」の前提そのものが崩れました。過去の株価は、もう基準になりませんでした。
何をしたか:暴落に“すけべ心”が出た
2011年3月、東日本大震災が起きました。株式市場はパニックで、日経平均は数日で1000円以上も急落。東京電力をはじめ、多くの株が暴落しました。
その光景を見て、私の中に“すけべ心”がわきました。「これだけ下げたなら割安だ」「みんなが恐怖で売っている今こそチャンスだ」「いずれ反発するはず」。そう考えて、暴落した東電株と日経平均ETFを買いました。勢いに乗ったのではありません。ただ安かったから買ったのです。
何が起きたか:戻らない、長いレンジ相場
ところが、相場はそこから素直に反発してはくれませんでした。日経平均は震災後、長く横ばい(レンジ)の状態が続きます。本格的に上を向くのは、翌2012年の終わりに始まる、いわゆるアベノミクス相場まで待つことになりました。
その間、私の買った株は戻らず、含み損のまま。「もう少し待てば」と思いながら時間だけが過ぎ、最後は長いレンジに疲れて手仕舞いしました。とくに東電の損が大きかった。原発事故の影響で配当は止まり、経営そのものが問題になり、株価は「割安だから戻る」という私の前提を、根本から裏切りました。
なぜ負けたか:3つの誤り
① 「すけべ心」=安さだけの底値拾い
一番の誤りはこれです。私は勢い(上昇トレンド)という根拠ではなく、「安い」という感覚だけで買いました。落ちているナイフを、反発の根拠もないまま掴んだのです。モメチンが「上がっているものに乗る」のとは、まったく逆の行動でした。
② 構造変化を見ていなかった
東電の暴落は、単なる需給の下げではありませんでした。原発事故という、企業の前提を変えてしまう構造変化です。こうした大事件のあとでは、「過去はもっと高かったから割安」という考えが通用しません。過去の株価は、もう基準にならないのです。
③ レンジ相場ではモメチンが効かない
そして相場環境。横ばいのレンジ相場では、そもそも勢い(モメンタム)が出ません。 だから順張りも機能しにくいし、私のような逆張りも、反発が来なければただの塩漬けになります。モメチンは、トレンドが出る相場でこそ効く手法。レンジ相場は、無理に張らず休むのも一つの選択でした。
そしてもう一つ、いつもの反省。出口(損切り・撤退ライン)を決めずに買ったこと。これがあれば、ここまで長く塩漬けにはしなかったはずです。
この体験から学べること
- 「安いから買う」を、買う理由にしない:暴落の“すけべ心”は危険。勢いという根拠があるかを問う。
- 大事件のあとは、過去の株価を基準にしない:震災・事故などの構造変化は、「割安」の前提ごと変える。
- レンジ相場ではモメチンは効きにくい:勢いが出ない相場では、無理に乗らず休む。相場環境を選ぶ。
- 出口を決めずに買わない:これは何度でも繰り返します。
念のため——これは「逆張りはダメ」という話ではありません。逆張りにも、**反発の根拠と撤退ラインという“ルール”があれば成立します。危ないのは、ルールも出口もないただの“すけべ心”**のほうです。
まとめ
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震災の底値拾いの失敗は、安さだけの逆張り・構造変化の軽視・レンジ相場・出口なしの重なり。
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モメチンは「勢いのある相場で、上がるものに乗る」手法。安さで買うのもレンジで張るのも、その逆を行っていた。
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暴落で“すけべ心”が出たら、「これは勢いか、ただの安さか」「出口はあるか」を必ず自問する。
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まず読む:「順張りと逆張りはどっちが勝てる?」(記事★2)
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